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その五.増殖爆発

 例年1月、研究所ではその年度に行われた研究、成果の検討会が行われる。この時ばかりは、一年分の仕事を総ざらえ、一種の棚卸しが行われる。当然のことだが、一年で一番忙しい季節の幕開けである。その忙しい日々の最中、それは起きた。

 昨年から話題になっていた「比較的大見出しの新聞報道」が出たのだ。2008年1月15日付け日本農業新聞の第12面(特集面)の約三分の二を占める「緑提灯広がれ」の衝撃はまさにメガトン級だった!紙面も見出しも、写真(全てカラー)も大きかった。そこには、埼玉の緑提灯店「四平酒場」さんに集った応援隊の面々の笑顔、JAビル地下の「道草」の提灯の大写し、茨城県牛久市にある「味芳」の店長が将にちりばめられている。記事も緑提灯運動の真骨頂を余すところ無く伝えていた。さらに、囲み記事として、全農 加藤一郎専務、日本農業研究所 岸 康彦研究員、農林中金総研 蔦谷栄一特別理事が、運動にエールを送っていた。それだけでも充分、緑提灯運動の質的転換を予感させるのに十分であった。

 そこに、その4日後の1月19日フジテレビの情報番組「ハッケン」が、この農業新聞の紙面を紹介する形で運動を詳しく紹介し、生の緑提灯が始めてテレビスタジオに登場する。その番組の結びで、人気キャスターの小倉智昭氏が、スタジオのゲスト達と、「今日は帰りに緑提灯にでも寄って帰りますか」と軽口のサービスまで。その反響は想像を絶するものだった。今まで、小刻みな連鎖反応によって世の中に散っていた応援隊予備軍が一気に活動し始めた。最早これで、緑提灯はキワモノでは無くなった。私自身も、何人もの友人、知人(何れも緑提灯応援隊予備軍)から、「テレビ見たよ!」、「近くの緑提灯店教えて!」と言う電話を受けた。これは生態系に例えれば、各地に散っていた種子が一斉に覚醒し、生命活動を活発化させる。そのことが引き金になり、更に周囲の温度を上昇させ、眠っていたより多くの種子の覚醒を相乗的に促す。大規模な連鎖反応の爆発に必要な条件がそろった。一触即発の臨界状態とも言える狂おしい感覚を想像して頂きたい。後は一瞬の衝撃を待つばかりだった。そして、遂にそれは起きた・・・

  2008年1月30日中国から輸入された冷凍餃子による健康被害の一報が報じられ、その後刻々と報じられる禁止薬物混入、責任問題、事故ではなく事件への流れの中で、報道の論調が次第に変化し始める。最初、「誰がやった?!」の原因追及から、「何故それ程までも中国に食を依存するのか?」に変わっていったのだ。そのタイミングと、緑提灯の映像メディアデビューがピンポイントでシンクロした。その結果、「輸入食品」問題と「地場産品応援」運動がセットで報じられるようになる。世の中には「まさかと言うさか」があるらしいが、この時がまさにそれだった。2008年の緑提灯店登録件数の推移(図9)をご覧頂きたい。2月7日、100店舗突破の瞬間は将にその沸騰点の中にあったのだ。殺到する問い合わせの中、「盛大なパーティー」のことは忘れ去られ、気が付けばその年の5月20日、緑提灯店は1000店舗を突破していた。

図9.緑提灯の増加カーブ(2008年1月〜12月)

 2005年4月から数えて、100店増えるのに2年9ヶ月、100店が1000店になるのに僅か3ヶ月、この間の凄まじさが想像できるだろう。その中で、緑提灯運動も鍛えられ、進化した。改めて白状するが、緑提灯運動にも応援隊にもハードな組織はない。日本人の食を大切に思い、そのための農業の復興を願う個人個人が出せる能力、時間、ネットワークを持ち寄ることで成立しているソフトな集合体である。その緩やかな連携体が押し寄せる波に立ち向かうため、自らのシステムを進化させざるを得なかった。具体例としては、現在稼動している緑提灯ホームページには、緑提灯店の申し込みのために、申込者自らが楽々と登録できる世界最先端の登録インターフェースを実装している。システムを構築したのは、緑提灯誕生に立ち会った一人でもある宮木氏が率いるITプロ集団(株)インジェンスの面々。毎日殺到する、緑提灯運動と応援隊への参加希望をリアルタイムで捌くために、登録情報のオペレーションにはインターネット上にデータベースを構築し、SSさん、HMさんを始め、ネットに接続している複数のオペレーターが自律的に分散処理した。このデータベースシステムには中央農業総合研究センターが開発した「サイファーズダイアリ」オンサイト・リアルタム営農情報収集システムがされた。システムのメンテナンスは、(有)ディージーシー総合研究所のスタッフによる昼夜を分かたぬ作業が不可欠だった。特に緊張を要する緑提灯店への提灯の発送作業は、同研究所の現代表取締役の櫻本直美さん、TMさん、KRさんらの連係プレーなど、実に多くの人々の支えが無ければ不可能であったことをここに記しておきたい。

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