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 その資料は当節流行のパソコンと液晶プロジェクターを使ってスライド映写を行うもので、タイトルは「北海道における農業研究の今後の方向」とある。北海道のバイオ産業の振興を後押しする「北海道バイオ産業振興協会:HOBIA」の平成16年度例会で行われた記念講演会で講演するらしい。北海道農業の技術開発の重要な一翼を担う北海道農業研究センターの所長としては至極真っ当な講演内容である。不思議はその最後の1ページ(図2)にあった。全部で27枚のスライドの中、他は全て北海道の農業技術の来し方行く末を指し示していたが、最後の一枚は異彩を放っていた。中央に「北海道」の文字と星印が三個を配した緑色の小田原提灯、スライドのタイトルは「北海道緑提灯」とある。どうやら、丸山氏が私を呼びだした理由はその提灯を見せんがためらしい。訝しげにパソコンの画面を覗き込む私に向かって一言、「どうだ良いだろう」。「何ですかこれは?」と私。「これは北海道の、いや日本の食糧問題を解決に導く凄いアイディアであーる」と丸山氏、意気盛んである。当時はまだ、この提灯の蘊蓄はスライド上で詳しく述べられていなかったが、後に公開された北海道バイオ産業振興協会の例会報告にはしっかりと「4.緑提灯運動」と章立てられており、そこには、「北海道に来て、観光客ならずとも北海道のものを食べたいと思う。北海道緑提灯・・北海道産が50%を超えたら赤ちょうちんを緑提灯に変えてはどうかと考えている。(参照1)」と記されている。これが、私が知る限り「緑提灯」と言う言葉がメディアに登場した一等最初である。

図2 「北海道バイオ産業振興会:HOBIA」記念講演スライドに初登場した緑提灯 2004年4月

 この瞬間私の中の何かが弾けた。スライドにあった小田原提灯に描かれていた星の数が、緑提灯を掲げたお店の地場産品自給率を表していて、星1つで50%、2つで60%と10%刻みで上昇し、最高は星5つの90%を表すこと、自給率はカロリーベース(実はこの時点では、重量ベース、品目ベースなど様々なアイディアがあり、各店で取り組みやすい方法で良いのではという考えもあったが、運動の進展過程でカロリーベースに統一された。カロリーベースだと、季節によって大きくメニューの変化するお店ではその都度計算が非常に煩雑になり、店主様を悩ましてしまう。あるいは、食材に占める野菜の%が高く、小麦粉や油、砂糖など高カロリーな食材が輸入である例えばラーメン屋、中華料理店などの場合は50%をクリアすることは非常に困難になる点、従って地元の野菜栽培農家を勇気付けられないのでは、などの意見が今も存在する)で評価すること、等々細かいことは、この際走りながら学習しよう。「旅に出ようか」などと遠い目をしていたことなどけろっと忘れて、この日から私の緑提灯営業の道程が始まる。組織への忠節?大将への忠義?とんでも無い。ひとえに緑提灯の目指すところが面白かったから。「『赤提灯を緑に』が日本の食糧自給率を向上させる」と言う壮大な構想に惚れたからだ。その中でも一等飛び抜けて私を痺れさせたのは、「星の数、つまりお店の自給率評価は、店主の自己申告!我々はあくまでお店のサポーターであり、お店を認証も認定も致しません。だって出来ないもの。仮に嘘をついて緑提灯を掲げる店が出ても、それで自給率が下がるわけではない。店にとってお客様が審判、お店の人、お客様の心をじっくり、じんわり変えていこう!」この一言だった。これこそ、左党の人、私を育んでくれた市井の仲間達、居心地の良い空間を分かち合った友人達と夜な夜な夢見た、上意下達ではない普通の人間目線の世直し戦略であったからだ。

 丸山氏によると、「緑提灯」コンセプトは将に、居心地の良い呑みの空間の参加者であった丸山氏、後に受付相談窓口として獅子奮迅の働きを見せる水島 明氏、緑提灯ホームページの設営者として運動にITの翼を装着させる、(株)インジェンスの宮木清貴社長の三人の会話に自然と宿ったと言う。真の天啓はそうしたものかも知れない。そんなことを想いつつ、藤井氏を待つ私の心の中では、他に幾つもの居心地の良い店と店長さんの姿形が浮かんでは消える、あたかも明滅する有機交流電球の如き蒼き光を放っていた。

参照1:HOBIA例会・セミナーの記録:H16年度 総会記念講演会討論会要旨

 

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