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■ 第2話 東京新橋緑提灯 居酒屋「粟田口」

 「サラリーマンの町」と呼ばれる東京新橋は、仕事の疲れを癒したい人々が一杯やりに集う居酒屋激戦区である。
  とある日の私も、例にもれず会議終わりの「お疲れ様」状態で、このあたりに来れば美味い店にありつけるだろうと赤提灯が並ぶ通りを歩いていた。
  そして偶然に見つけた緑色の明かり、「おっ」と思わず歓声を上げてしまったのを今でも覚えているのだか、それが「粟田口」さんとの出会いである。

 新橋の居酒屋は本当にたくさんある。その中でこのお店は特にお酒好きの方にお勧めしたい。
  全国各地から取り揃えた絶品の旬の素材を抜群の腕で調理してくれるから、出されるお料理が美味いのは言うまでもないが、加えて凄いのが焼酎40種類以上、日本酒25種類以上というお酒の取り揃え。
  しかも、幻とまでいわれる「十四代」をはじめとした銘酒・名酒がずらりと取り揃えてある。
  日本酒の消費を伸ばすことで酒米の生産を支えたい、なんてのは単なるのんべぇのいいわけですが、とにかく凄いんだから、酔っ払い代表としてどうしてこんなにいいお酒がそろっているのか思わずお店の方に聞いてみた。

  「それは信頼関係ですよ」コップはもちろんのことそれが入っている枡までナミナミと銘酒を注いでくれる大将は、和装のピリッとした男前。日本酒は焼酎と違って日持ちしないから、たくさん取り揃えるのはリスクが高い。
  取り扱い数が増えればそれぞれの瓶あたりの消費ペースは落ちるから、もし注文が来ない酒があればそれはみんなダメになってしまう。
  それでも大将は心意気でお酒を取り揃えて、いっそ古くなるくらいならば、美味いうちに馴染みのお客に安くして飲ませてしまうのだそうだ。

  そうしていろんなお酒をいい状態で取り揃えておけば、自ずと日本酒好きの客が集まる。
  これがお客と店との信頼関係。
  そしてもう一つはお酒屋さんとの信頼関係。
  同じ理由でたいていの店はリスク回避のために日本酒の取り扱いを制限する中、粟田口さんは景気が傾いても日本酒の仕入れを控えなかった。
  そうした長年のお付き合いの中で築いた酒屋さんとの信頼関係でもって、普通は手に入らない銘酒を仕入れることが出来るのだそうだ。

コップもマスもナミナミ〜
 

「石川県七尾の能登島無農薬野菜」
スティックサラダ
甘くてジューシー!
 

  さてさて、うっかりお酒の話に夢中になってしまったが、料理のすばらしさも少々。


  ちょうど石川県の応援隊と一緒にお店を訪れた時、お勧めメニューに「石川県七尾の能登島無農薬野菜」とあったので、同郷の好とばかりにスティックサラダをいただいてみた。それが驚くべき絶品だったのだ。
  白状すれば、私は大人になるまで根菜が食べられなかった。
  ニンジンも大根も苦くて臭くて大嫌い。それなのに、このカブやニンジンの甘くて瑞々しいことといったらなんだろう。
  味付けの味噌がこれまた目が覚めるほど美味くて、筆舌に尽くしがたいとは、正にこのことだ。

  思わず感動してお代わりしちゃって、さらに源助大根の風呂吹きもいただいた。
  もしも子供の頃にこんな美味しいサラダに出会っていれば、根菜嫌いになんてならなかったのに。
  「世の中の野菜嫌いの子供にぜひ食べてもらいたい!」と力説すれば、「嬉しい事言ってくれますね」と大将もニコニコ。

 野菜も美味いが魚も肉ももちろん美味い。

  日本海のそばで育った人間は、たいがい刺身にはうるさいのだが、石川の応援隊も鳥取出身の私も、ここのお刺身には大満足。
  鳥も奥久慈軍鶏を使っているから、歯ざわりが良く味がしっかりしていて、ガツンと来る。
  どの料理もシンプルだが一工夫してあり、料理人の腕が顕著にあらわれるものばかり。
  野菜スティックにしてもそうだけれど、絶品野菜プラス絶品味噌といった、極上の食材と極上の調理がセットだからこそ、料理は美味いのだという事が良く良く理解できた。

源助大根の風呂吹き
とろっとろです

奥久慈シャモのたたき
 

サーモンのサラダ 大好物です
 

奥久慈軍鶏の焼き鳥

新鮮なお刺身は
日本海その場で育った
うるさい口でもうまいんです
 

「仕入れでお金を使うときは、意味のあることに使いたい」
大将や板さんの料理に対する真剣な眼差しは感動的だ。
「単に国産の食材にこだわることよりも、食材の本質をお客様に理解してもらうこと、共感してもらうことが重要」
緑提灯をブームやブランドで終わらせないためには、こうした板前さんの思いが大切である。
「儲からなくてもよいとは思わない。自己満足でなく、利益をきちんと出す、健全な飲食店を作ることが、ひいては一次産業に利益をもたらす事になる」
こういった意気込みこそが、本当の意味で日本の農業を活性化するキーとなるのではないだろうか。

心打たれたので、緑提灯に関わる全ての皆さんにもメッセージをお願いした。 以下にご紹介する。

・お客様に対して
  価格に敏感な方も多いと思いますが、食事というものはお腹が満たされればそれでいいというわけではないと思っています。
  食材の向こうある、生産者の方や流通業者の方、日本の産業にかかわる人たちを想像しながら飲食することで、心も豊かになり、きっと心もおなかも満たされるのではないでしょうか。

・生産者、流通業者の方に対して
  東京で仕事をさせてもらっています。日本中から食材が届けられて、使いたいものを選ぶことができ、自分の作りたい料理を作り、お客様に喜んでもらうこともできています。
  自分が毎日満足の出来る仕事ができるのも、良い食材を作っていただいていることで成り立っています。感謝です。
  もちろん良い食材を良いまま届けていただいている流通にかかわる方にも感謝です。
  粟田口は和食なので、良質な食材を用いてその味を損なわない程度の調理、味付けをするだけの当たり前の料理を提供しています。料理がおいしいと言っていただけるのも、食材を褒めていただいているようなものです。

・飲食業の方に
  ちゃんとした料理を出す店が少なく、料理人を育てる店が少なくなってきています。手作りこそ料理人の魅力、当たり前に美味しく、料理人も育てられるお店を一緒に増やしませんか?


店長さん!かっこいいんだ〜

 

Written by Sakura 2010 JAN

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